こんばんは。(^^♪
今日は、昨日の続きです。
これだけでは物足りないかと思いますので、後半に少し実務のお話を絡めて書かせていただく予定です。
(6)(7)は(5)と同じですね。
与えられた金額で、借方「減価償却費」、貸方「固定資産の科目」で処理を行います。
(8)(9)は同じ考え方になりますが、帳簿価格より売却価格のほうが低かったので、差額は「固定資産売却損」という費用の科目で処理を行います。
(10)は帳簿価格より高い価格で売れたので、差額は「固定資産売却益」という収益の科目で処理します。
ということで、ここは、それほど難しくないかと思われますので、少し実務に関することを書かせていただきます。
企業会計原則(購入時の付随費用)
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、(中略)取得原価をもって貸借対照表価額とする。
有価証券については、原則として購入代価に手数料等の付随費用を加算し、(中略)取得原価をもって貸借対照表価額とする。
有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める。
企業会計原則では、このように、記載されているんですね。
1級だったか、財務諸表論だったかの受験時に丸暗記しました。(;^_^A
そのため、簿記検定の出題は、「商品」や「有価証券(上級で学習)」や「有形固定資産」を購入した場合に、問題文中に記載されている付随費用を加算した金額を購入したものの代価に加算して処理するのです。
でも、実務ではそんな単純ではないのです。(;^_^A
営業用自動車を購入したら?
簿記検定の問題上は、せいぜい、練習問題に書かせていただいた程度の付随費用の出題のされ方になりますが、実際に営業用車両を購入された場合、明細書を見ると、こまごまと記載されています。
その場合、どのように処理をするのでしょうか?
企業的には、早い時期に費用化したほうが一般的には税制面で有利になります。
車を購入した際に掛かった費用をすべて「車両(運搬具)」(資産)として処理してしまうより、費用として処理できる部分は費用として処理したほうが有利ということです。
具体的には、保険だとか自動車税(個々は省略)だとかリサイクル料金とか、手続き代行費用とか、オプションで付けたカーナビやドライブレコーダーとか…。
これらすべてを「車両」で処理する必要はありません。
自賠責保険は「保険料(費用)」、自動車税関連は「租税公課(費用)」、代行費用は「支払手数料(費用)」で処理をして問題ありません。
リサイクル料金は「預け金」などの資産の科目で処理をします。
また、オプションで付けたカーナビ等は、「車両」の価格に含める必要があります。
仕訳にしてみると、借方に、「車両運搬具」のほか、「保険料」や「租税公課」や「支払手数料」や「預け金」などを並べれば良いことになります。
貸方は、まだ、払っていないのであれば、「未払金」で良いですね。
営業用自動車を買い換えたら?
じゃあ、古い自動車を下取りに出して、買い換えたらどうなる?
この場合は、借方に上のような科目を並べて、貸方には古い自動車の帳簿価格で「車両運搬具」や支払い手段(未払金など)を記載します。
下取値引きを受けた場合は、新しい車の価格を値引き分だけ下げた金額にします。
そして、借方と貸方の差額が「固定資産売却益」または「固定資産売却損」となるわけです。
消費税については、どう処理する?
課税事業者の場合、消費税の処理の問題が生じます。
会計ソフトは、費用か収益の科目(もちろん、消費税の対象にならない科目は除く)が生じたら、自動的に消費税を抜き出すようにプログラミングされています。
私はプログラミングはしませんので、違うかも知れませんが…。(;^_^A
1.科目が課税対象であり、かつ、費用(収益)の科目なら
2.入力金額(税込で入力する場合)×0.1÷1.1(例:円未満切捨)を「仮払消費税」(「仮受消費税」)に計上し、残りは、該当の科目で処理しなさい。
みたいなプログラミングがされていると思うんですね。
そのため、固定資産の購入時は良いのですが、売却時に問題が生じます。
計算が簡単になるように、数字を小さくしますので、そんな額で車両は売買されんだろう?という突っ込みはなしでお願いします。(;^_^A
営業用車両を¥110,000で購入し、代金は月末払いとした。
という場合、車両運搬具110,000/未払金110,000で仕訳を行えば、
車両運搬具 100,000 / 未払金 110,000
仮払消費税 10,000
と会計ソフトが自動処理してくれます。
じゃあ、売却時はどうなるか?
¥110,000の営業用車両を¥88,000で売却し、代金は月末受け取りとした。
という場合、次のように仕訳を行いますよね?
未収入金 88,000 / 車両運搬具 110,000
固定資産売却損 22,000
この場合、会計ソフトは、費用である「固定資産売却損」の部分からしか消費税を抜き出してくれないのです。
元々、資産の科目は、消費税の対象外ですからね。
「固定資産売却益」が生じた場合も同様です。
でも、消費税法上は、売れた分の¥88,000を課税売上として処理する必要があるのです。
じゃあ、どうするか?というと、ちょっと手を加えないといけないわけですね。
色んな方法がありますが、例として次のように行います。
未収入金 88,000 / 固定資産売却益 88,000
これで、固定資産売却益に含まれる8,000が仮受消費税として抜き出されます。
借方の未収入金も問題ありません。
続いて、次のような仕訳を行います。
固定資産売却損 110,000 / 車両運搬具 110,000
これで、貸方「車両運搬具」は正しく処理されました。
残りは、固定資産売却益88,000と固定資産売却損110,000が相殺されるので、最終的に固定資産売却損が22,000残ることになり、仕訳としては正しいです。
ただし、ここで気を付ける必要があるのは、借方の「固定資産売却損」です。
このままにしておくと、「仮払消費税」が10,000抜き出されてしまいます。
ということで、借方の「固定資産売却損」の消費税区分を「対象外」に直しておく必要があります。
結論は、次のような感じですね。
未収入金 88,000 / 固定資産売却益 88,000
固定資産売却損(課税対象外) 110,000 / 車両運搬具 110,000
この2つの仕訳にします。
「いやぁ!なんか、難しいなぁ」ということでしたら、これを伝票辞書とか仕訳辞書に登録しておけば良いんですよね?
消費税の税区分(手動で課税対象外にしたこと)も含めて登録できますので、後は、実際の金額を入れればOKということです。
(私も日商簿記1級取得済みですし)日商簿記の資格を軽んじるわけではありませんが、例え、日商簿記1級まで合格していても、こういった実務の仕訳は、その場に遭遇しないとできないということですね。
言い直せば、初級の知識でも十分なので、後は自社に応じた実務処理を知って、仕訳辞書や伝票辞書に登録する知識があれば十分ということなのです。
正直、日商簿記1級は、実務を離れてかなりマニアックです。
私は趣味の1つとしてチャレンジしましたので、何も問題はないのですが、一般企業の経理事務に就きたいと思われて、日商簿記2級の続きだからと、学習をされている方は、1級取得のために費やされる時間を会計ソフトの習得や法人税法や消費税法の3級程度で良いので、税法の学習に力を注がれる方が、はるかに、お役に立てるということを知っていただきたいと思います。
私が日商簿記1級の学習をしていた頃、5~6回チャレンジしても合格されずに、とうとう受験を諦める方を何名か目にして来ました。
当時は合格率が4~6%でしたので、かなり難関資格でした。
今もそうだろうと思います。
でも、約30年実務に携わってきて、各種企業様の決算業務その他をお手伝いしてきて、あの1級の学習は何だったんだろう?単なる自己満足やなぁと思うのです。
ああ!私の場合は、それが専門学校の講師に繋がり、今の自分に繋がったので良いんですけどね。(笑)
そんな例は、本当に特殊だと思うので…。
是非、有効な時間の使い方をされてくださいね。(^_-)-☆
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